高電圧・大電流FETとロジックレベルFET:用途別の選び方ガイド

電子回路を設計する際、適切なFET(電界効果トランジスタ)を選ぶことは、回路の安定性と効率に大きく関わります。FETは大きく分けて「高電圧・大電流タイプ」と「ロジックレベルタイプ」の2種類があり、それぞれ異なる用途に適しています。本記事では、それぞれの特性を比較し、どのような回路にどのFETが向いているのかをわかりやすく解説します。

 

 

1. 基本パラメータの比較:電圧・電流・ゲート駆動

  • 高電圧・大電流FET:モーター駆動、電源制御、インバーターなど高出力用途に使われ、100V以上の電圧と数十Aの電流を扱えます。
  • ロジックレベルFET:ArduinoやRaspberry Piなど、マイコンのI/O制御に最適で、2.5〜5Vのゲート電圧でスイッチング可能です。
    高電圧・大電流FETとロジックレベルFETの違いを比較するインフォグラフィック。電圧範囲、電流容量、ゲート駆動電圧、モーター制御やマイコンI/Oなどの典型的な用途が示されている。

2. パラメータ比較表

項目 高電圧・大電流FET ロジックレベルFET
ドレイン-ソース電圧(VDS 100V〜1000V 20V〜60V
最大ドレイン電流(ID 10A〜100A以上 1A〜20A
ゲート駆動電圧(VGS 10〜15V 2.5〜5V
典型的な用途 モーター、インバーター、高電力スイッチング LED制御、リレー、マイコンI/O

 

 

3. よく使われる代表的なFETモデル

  • IRF540N:100V/33A、標準タイプ、10V以上のゲート駆動が必要。
  • IRLZ44N:55V/47A、ロジックレベルタイプ、5V信号で駆動可能。
  • FQP30N06L:60V/32A、DIYやマイコン制御に最適なロジックレベルFET。

4. 設計上の注意点

マイコン(Arduinoなど)とFETを直接接続する場合は、必ずロジックレベルMOSFETを選びましょう。標準タイプを使用し、ゲート電圧が不足していると完全にスイッチングできず、FETが発熱して破損する恐れがあります。逆に高出力用途では、標準型や高電圧FETを選び、TC4420などのゲートドライバICと組み合わせて使用することが推奨されます。

 

 

5. まとめ

FETは小さな部品ですが、その選び方一つで回路の信頼性と効率が大きく変わります。高電圧・大電流タイプとロジックレベルタイプ、それぞれの違いを理解した上で、使用する電圧、制御信号、負荷電流に合わせて最適なFETを選択しましょう。