ハンダ付けはセルを傷める?スポット溶接不要の3つの代替法

18650バッテリーセルを接続する際、もっとも一般的な方法はハンダ付けです。しかし「セルにハンダはNG」「爆発の危険あり」といった声もよく聞きます。それは本当でしょうか?また、それが本当なら他に安全な方法はあるのでしょうか?本記事では、ハンダ付けのリスクを解説し、スポット溶接機がなくても安全にセルを接続できる3つの代替法を紹介します。

 

 

なぜハンダ付けが問題視されるのか?

ハンダ付けは、金属に熱を加えて溶かしたハンダで接続する作業です。問題はこのにあります。18650リチウムイオン電池は高温に非常に弱く、60℃を超えると内部の電解液が劣化し始めます。不適切なハンダ付けは以下の問題を引き起こす可能性があります。

  • ガス膨張: 高温により電解液が気化し、内部圧力が高まり膨張や漏れの原因に。
  • 容量劣化と寿命短縮: 熱ストレスで性能が低下し、使用可能時間が短くなります。
  • 火災の危険: 絶縁が破損すると内部短絡を引き起こし、熱暴走する恐れがあります。

つまり、問題はハンダ付けそのものではなく、熱によるセルへの影響なのです。それでは、どんな代替方法があるのでしょうか?

18650バッテリーを接続する3つの方法を比較する図解:ハンダ付け、クランプ接続、バッテリーホルダー使用の構造と原理を示す

代替法①:圧着式(クランプ接続)

熱を使わずに、ニッケルストリップをセル端子に物理的な力で押し付けて接触させる方法です。ストリップをセル上に置き、クランプ・ボルト・スプリングなどで固定します。

  • メリット: 熱なし、再利用可能、分解や修正が容易
  • デメリット: 機械構造の工夫が必要、接触抵抗の管理が難しい場合あり

 

 

この方式は試作機や交換式バッテリーパックなどでよく利用され、最近ではネオジム磁石で固定するDIY方法も人気です。

代替法②:セルホルダーを使う

プラスチック製のバッテリーホルダーには金属端子が内蔵されており、セルを挿入するだけで自動的に電気接点が確保されます。初心者に最適な方法です。

  • メリット: 簡単、安全、ハンダや溶接不要
  • デメリット: 大電流には不向き、振動に弱い傾向あり

LEDやセンサー、教育用キットなど低電流用途に適していますが、高負荷がかかる電動工具バッテリーには不向きです。

代替法③:コンデンサ放電式スポット溶接

スポット溶接は、短時間に大電流を流して金属表面を接合する方式です。12Vバッテリーで充電したコンデンサの電力を瞬間的に放出して溶接します。

  • メリット: 熱影響が小さく、速くて強固な接合が可能
  • デメリット: 電子回路の知識が必要、部品選定に注意

 

 

NE555タイマーやIRF3205 MOSFETなどの部品を使って、低価格かつ小型のDIYスポット溶接機を作ることも可能です。

おすすめの組み合わせ:軽いハンダ + 圧着または磁石

複数の方法を組み合わせることで、安定した接続が可能になります。たとえば、1秒程度の軽いハンダ付けで仮固定し、クランプやボルトで補強する方法や、セルホルダーと磁石を組み合わせて接触性を向上させる手法も有効です。

 

 

まとめ:ハンダが悪いのではなく、熱が問題

「ハンダは電池を壊す」は正確とは言えません。本当の問題は、長時間の高熱や繰り返し加熱、温度への無関心です。スポット溶接機がない場合でも、今回紹介した方法を使えば、安全で長持ちする接続が可能です。

高価な設備がなくても、セルを守り、安定した性能を維持することが最も大切です。用途やスキルに合った方法を選びましょう。